社会福祉法人袋中園は、昭和52年4月に宗教法人浄土宗が創立の母体となって開設されました。
何故、浄土宗が沖縄に、このような社会福祉法人を創立しようとしたのか、又、何故、袋中園というネーミングをしたのかは、「浄土宗の教えと社会福祉」「袋中上人と袋中園」の欄をご参照下さい。
現在、袋中園では【乳児院 吉水寮】【障害児入所施設 そよかぜ寮】【児童養護施設 青雲寮・地域小規模児童養護施設 さらな・つきかげ・ともいき】【障害者支援施設 おおぞら寮】【障害児童通所支援事業所 和順】を設置経営しています。
袋中園創立時のマスタープランでは、児童福祉施設を網羅的に設立し、児童福祉の総合施設にしようと計画しました。しかし、その後の社会情勢の推移、施設機能に対する社会的ニーズの変化、制度上の問題に対応するため、マスタープランに修正を加えてきました。
袋中園の外形は、それなりに変貌をとげましたが、袋中園の掲げる理念については、変わっていません。必ずしも理想通りにいっていませんが、理念は次の通りです。
・浄土宗の教えをバックボーンに
・コミュニティケア
・ノーマライゼーション
・利用者のニーズをベースに
袋中園では、利用者の皆さんに、良いサービスを提供するために、マンパワーを含む、良い環境づくりに努力しています。
創立母体の浄土宗からは、精一杯の援助を約束されていますが、有縁の皆様方にもさまざまな形でのご協力、ご支援を懇請いたします。
浄土宗の元祖は法然上人(1133〜1212)です。法然上人は、現在の岡山県に生まれられ、長い修行の後、43歳(1175)の時に浄土宗をお開きになりました。
浄土宗の教えは、阿弥陀仏を信じ、「南無阿弥陀仏」と念仏を称えることによって、どんな罪も苦しみも消え、明るい安らかな毎日を送ることができるとともに、そのままの姿で立派な人間へと向上して浄土に生まれることを教えています。
これを現代的に解釈すれば、浄土は「理想的福祉社会」のことであり、浄土をおつくりになった阿弥陀仏は「理想的福祉社会」を実現した力の象徴と、いうことになります。したがって、念仏するということは、福祉実現のための社会的活動を、実践することを意味します。このように浄土宗の教えと、福祉の思想とは深くかかわっています。浄土宗が社会福祉活動に力を入れる所以です。浄土宗は、ずっと社会事業宗とよばれてきました。
袋中上人(1552〜1638)は浄土宗の僧侶です。上人が52歳(1603)の時、沖縄県に渡られ、3年間滞在されました。念仏信仰のかたまりの上人は、沖縄に念仏をひろめられます。
「琉球國由来記」には、「始テ那覇人民ニ伝ウ 是念仏ノ始也」とでていますし、「球陽」には「之ヲ那覇人民ニ教ウ(中略)本國念仏 此レ自リ始ル」と書いてあります。又、時の尚寧王、執政儀間真常公の帰依を得て、産業の振興、民衆の教育、そして現在に伝わるエイサーにも力をそそがれました。
袋中園は、沖縄の人々とともに生きられた袋中上人をしたい、袋中上人によって結ばれた沖縄と浄土宗の深い因縁に触発されて、地域の人々の中に、生きた念仏=福祉を実践する施設として開設されています。